健康プチコラム

国を挙げての認知症対策「オレンジプラン」とは?

明日は成人の日。

今年の新成人は122万人だそうですが、これはピークだった42年前の246万人と比べると半分以下です。

この数字を見るだけでも、日本は深刻な少子化が進んでいることがわかりますね…

また、それにともない高齢化が顕著になり、さまざまな疾病による医療費の増大が懸念されています。

認知症の増加も深刻な問題といわれ、患者数は2002年からの10年間で2倍にも増えているとのこと。

これは、65歳以上の10人に1人が認知症という割合だそうです。

そのため、厚生労働省は昨年「認知症施策推進5ヵ年計画」というものを発表しました。これがオレンジプランです。

オレンジプランの7つの対策とは次のようなもの。

・標準的な認知症ケアパスの作成・普及
認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れの作成や普及

・早期診断・早期対応
かかりつけ医認知症対応力向上研修の受講者数を35,000人から50,000にする。また、認知症サポート医養成研修の受講者数を2,500人から4,000人に増加する。

・地域での生活を支える医療サービスの構築
「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定、精神科病院に入院が必要な状態像の明確化、「退院支援・地域連携クリティカルパス(退院に向けての診療計画)」の作成など。

・地域での生活を支える介護サービスの構築
認知症の人が可能な限り住み慣れた地域で生活を続けていくために、必要な介護サービスの整備の推進

・地域での日常生活・家族の支援の強化
認知症地域支援推進員を175人から700人に増員、すべての市町村での市民後見人の育成・支援組織の体制整備、認知症の人やその家族等に対する支援など。

・若年性認知症施策の強化
若年性認知症支援のハンドブックの作成、若年性認知症の人の意見交換会開催などの事業を47都道府県で実施など

・医療・介護サービスを担う人材の育成
「認知症ライフサポートモデル」(認知症ケアモデル)の策定や認知症介護実践リーダー研修の受講者数を26,000人から40,000人へ増員、一般病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修を新規で行い、87,000人の受講者数を目指すなど。

ちなみに認知症とは、正常だった脳の知的な働きが、後天的な原因で記憶や判断力などに障害が起こり、生活に支障が出ている状態です。

老化による物覚えの低下のようなものは含まず、病的に能力が低下するもののみを認知症といいます。

よく知られているものに、アルツハイマー型認知症がありますね。

■ 認知症予防のための脳トレーニング

前頭葉は脳のコントロールタワーの役割をして、左脳と右脳の情報をもとに判断、分析、決断、創造力、感動といった脳の働きを受け持っています。

このため、前頭葉を活性化させることが、認知症の予防につながるといわれています。

日常の生活で次のようなことを続けられてはいかがでしょうか。

前日の日記を書く・または読み返す
日記を書くために、昨日あったことを思い出そうとしたり、自分の行動を忘れないように意識することで記憶力を鍛えることができる

人と会話をする
5~6人のグループで話し合うことによって「注意分活力」という2つのことを同時に行うときに、その両方に気を配る能力を鍛えることができる

2つの料理を同時につくる
2つの料理を同時につくるためには手順を考えたり、作業を並行して進める必要があるため、「計画力」と「注意分活力」を鍛えることができる

体を動かすときに重要な役割をしているのは、脳の運動領域という部分で、その約8割は手や指、口の動きに関連しているため、手や指、口を動かすことも非常に有効だといわれます。

認知症は、糖尿病や高血圧などが原因で発症する場合もあるので、生活習慣や食生活の見直しも大切ですね。

マイコプラズマ肺炎にご注意ください!

例年12月から1月に流行しているマイコプラズマ肺炎が、今年は10月で、昨年の患者数を超えているそうです。

マイコプラズマ肺炎とは、「マイコプラズマ ニューモニエ」という病原体の感染によって発症する病気です。

この病原体に感染すると、気管支炎や肺炎を起こします。

特に秋の終わりごろから冬にかけて増えてくるとのこと。

咳やくしゃみなどによって人から人に感染するため、幼稚園や学校、会社などで集団感染してしまう恐れがあります。

潜伏期間は、2~3週間で80%以上が14歳以下ですが、成人にもみられます。
(特に5~12歳がピーク)

■ マイコプラスマ肺炎の症状

発熱としつこい乾いた咳が3~4週間ほど続くのが特徴。

多くの人は軽い症状が続きますが、一部の人は重症化することもあります。
風邪の症状と似ていますが「痰が少ない乾いた咳」というのが大きな特徴です。

適切な治療を受けないと、数ヶ月にわたり肺炎が続くこともあり、脳炎や中耳炎といった合併症を引き起こしてしまうこともあるとのこと。

次のような症状はありませんか?

・発熱
・全身倦怠感
・長引く乾いた咳
・喉の痛み
・喘息があると、喘息の悪化
・頭痛

■ マイコプラズマ肺炎の治療と予防

抗生物質によって治療します。

ただし、この病原菌は、普通の細菌のような細胞壁をもっていないため、抗生物質のうちでも、効果のあるものは一部に限られています。

通常は、1~2カ月以内に治癒できることが多いですが、抗生物質の効かない「耐性菌」が増えていることが問題となっています。

予防方法としては、マイコプラズマ肺炎に対するワクチン(予防接種)が今のところないため、「十分な栄養と睡眠」「手洗いとうがい」「マスクの着用」などをし、流行している時期には人ごみを避けるようにすることです。

上記の予防をこころがけ、長引く咳などの症状があるときは、早めに診察を受けるようにしましょう。

赤ちゃんの虫歯予防は、この期間が肝心!

健康の秘訣は「適度な運動」「良質な睡眠」「バランスよい食事」などといわれますが、特に血液や肉となる食物は、身体の形成にかかせません。

しかし、いくらバランスよい食事をしても、身体に吸収されなければ意味なし。

丈夫な歯でよく噛んで食べること。「歯が健康であること」が重要です。

虫歯でお悩みの方も多いと思いますが、これはミュータンスレンサ球菌(MS菌)という細菌が原因です。

もともと生まれたばかりのときには、この悪玉菌の影響はうけません。

なぜなら、このMS菌は歯の表面にしか住めないので、歯が生えていない乳幼児期は感染しないのです。

では、赤ちゃんが虫歯に感染しやすい時期はいつ頃かというと、乳歯が生え始めのとき。

この時期の食事で、おかあさんの口内にMS菌が増殖していると、口うつしや同じスプーンを使用したときに感染しやすくなります。

ですから、赤ちゃんにとって、乳歯が生え始める19ヵ月から31ヵ月(1歳7ヵ月~2歳7ヵ月)までの期間が大切

ちなみにこの期間のことを感染の窓と呼びます。

このような理由から、赤ちゃんの虫歯予防は、母親や父親はもちろん、養育者が気をつけることが必要です。

しかし、幼い頃はスキンシップも重要。

あまり神経質にならずに、歯科医師に相談し、歯のクリーニング方法や、MS菌の除菌を受けられてはいかがでしょうか。

肝臓病治療には国の助成制度があります

秋は年間を通しても、一番過ごしやすい季節ではないでしょうか。

行楽の秋、スポーツの秋、読書の秋など、いろいろ言われますが、食欲の秋という方も多いのでは?

この時期は、おいしい食材が豊富ですから、ついついお酒の量も増えてしまいますね (笑

しかし「酒は百薬の長」とはいえ、飲みすぎは体に毒。

お酒の飲みすぎで思い浮かぶのは、肝臓病ですが、意外にも、日本人の80%はウイルスが原因の肝炎だそうです。

ところで、C型、B型などの肝炎ウイルス検査は、無料で受けられるというのをご存じでしょうか?

検査は、都道府県や各市町村で行われているようなので、くわしいことは地域の保健所などにおたずねください。

また、C型、B型肝炎などのインターフェロン治療などには、国の助成金制度もあるようです。

助成制度にはいくつか条件があるようなので、医師や保険所にお問い合わせください。

■ こちらもご参考に

政府広報オンライン

良い汗をかいていますか!?

8月も残り一週間となりました。

朝晩は、いくぶん気温も下がり過ごしやすくなりましたが、油断は禁物。熱中症対策をお忘れなく。

ところで、汗はかいていますか?

これだけ暑いと、つい冷房が効いた快適な場所で涼を取りたくなりますね。

最近は、エアコンなどの普及によって、汗をかかない人が増えているとのこと。

しかし、「汗をかく」ということは、体の機能を正常にするために必要なことなのです。

体温が上昇すると、血液から血しょうが汗腺に取り込まれます。

汗腺には、血液中に含まれるミネラル分をろ過して、汗と一緒に分泌される前に体内に再吸収する働きがあります。

しかし、再吸収する能力には限界があり、すべての必要成分を再吸収することはできず、一部は水分とともに体外へ排出されてしまいます。このミネラル分が多いか少ないかによって良い汗悪い汗に分かれるのです。

悪い汗とは

汗をかく機会が減ると、汗腺の機能が低下して「汗をかけなくなる」という悪循環になります。ちなみに、汗腺は加齢によっても衰えてきます。

汗腺の機能が低下すると、ミネラル分の再吸収が上手くできずに汗と一緒に排出され、ミネラル分の多いベタベタした「悪い汗」をかくようになります。

このミネラル分の多い汗は蒸発しにくく、体温調節がうまく行われません。
また、アンモニアなどのニオイ成分を含むため、ニオイが発生します。さらに、アンモニアは皮膚表面をアルカリ化する作用があり、これが雑菌の繁殖を促して、汗のニオイはますます強くなることに。

良い汗とは

「良い汗」は、水に近いサラサラの状態の汗です。
蒸発しやすく、体温調節が順調に行われ、新陳代謝も正常に働きます。また、弱酸性で皮膚の菌の繁殖も抑え、無色、無臭、無菌でニオイもありません。

悪い汗をかきやすい生活習慣は次のようなこと。

◎バランスの悪い食事
◎運動不足
◎エアコンに頼りすぎる生活
◎水分不足
◎ストレスの多い生活

サラサラ汗にするためのポイントはこちら。

・バランスの良い食事
肉などの脂質の多い食生活を減らし、野菜をたっぷり食べ、バランスの良い食生活を送るよう心がける。

・エアコンに頼りすぎない
冷暖房に頼り、普段から汗をかきにくい状態が続くと、汗腺の働きが低下し、ニオイの原因にもなってしまいます。屋外へ出たり運動をして、自然な発汗をかく機会をつくりましょう。

・運動や入浴で適度に汗をかく
ニオイのない汗をかくためには、汗腺を活性化させる必要があります。ウォーキングなどの軽めの運動を毎日10分行ったり、ぬるめのお風呂でしっかり汗をかくと、汗腺が目覚めサラサラの汗をかくことができるようになります。

・禁煙
タバコにはアセトアルデヒドやアンモニア、ニコチンといったニオイの原因物質が含まれています。これらは体内で分解されにくく、汗と一緒に出てニオイを放ちます。

まだしばらくは残暑が厳しそうです。
適度に汗をかくことを習慣にして、健康な毎日をお過ごしください。

熱中症対策には、正しい水分補給を!

やっと梅雨が明けたと思ったら、連日猛暑が続いてます。
節電とはいえ、ついエアコンのリモコンに手が伸びてしまいますね…

お子さんや、年配の方は無理をせず熱中症対策をお忘れなく。

熱中症対策で必要なことは、水分の補給。脱水症の予防が大切です。

脱水症というのは、体に必要な体液が不足した状態のこと。

汗などで失っていく水分量よりも、体内に補給する水分量が少ないと「脱水症」が起きやすくなります。ちなみに「脱水症」は、水分不足だけではなく、体液に溶けているナトリウムやカリウムなども失われた状態のこと。

ナトリウムなどの電解質には、神経、骨、筋肉、臓器の機能を正しく保つ重要な働きがあため、不足すると命が危険な状態になることも。

かくれ脱水症とは?

自覚症状のない脱水症の初期状態をかくれ脱水症と呼びます。

脱水症は進行するまで、症状が出にくいのが特徴で、本人や周囲がそれに気がつかないため、対策が遅れることがあります。

これが脱水症の症状!

水分が失われると、血圧が下がったり、老廃物を排泄する能力が低下します。
また、脳の血流が減ると集中力の低下や、めまいや立ちくらみが起きることも。

次のような症状が脱水症の特徴です。

・強い喉の渇き
・食欲減退
・全身倦怠感
・脱力感
・めまい、立ちくらみ
・強い頭痛
・尿量の減少
・便秘
・唇や肌の乾燥
・吐き気
・筋肉がけいれんする

脱水症の重症度は、体重の減少率が目安

・軽 度 →体重減少が1~2% (軽い下痢、嘔吐、微熱)
・中 度 →体重減少が3~9% (血圧低下、臓器の血流低下)
・高 度 →体重減少が10%以上(心臓、腎臓、呼吸不全)

脱水症の対処方法

● 軽症の場合
まずは水分の補給。体液に近い濃度の電解質が含まれていた方が、速やかに体に吸収されます。ごく少量の塩を加えた水やスポーツドリンクがおすすめで、10℃前後の冷たいものの方が吸収速度が速くなります。極端に冷たかったり、味の濃い飲み物は避けましょう。

● 重症の場合
脱力感や眠気、頭痛などを起こすほどの脱水の場合には、病院などで点滴による水分補給を受けることで早く回復します。それ以上の脱水の場合には、緊急の処置を受ける必要があります。

脱水症の予防ポイント

脱水症は、野外だけに限らずどこでも起こる可能性があります。

● 室内
脱水症の多くは室内で起こります。マンションのように気密性の高い住宅では、風通しが悪くなり、汗が蒸発しにくく、体温が下がりにくいため熱中症になる危険が。

● 夜間
暑い季節のコンクリート製の住宅では、昼間にコンクリートにこもった熱が夜間に放熱されるため、気温が上がりやすくなります。そのため、寝る前に水分補給を控えると、発汗が増えて脱水症になりやすいのです。

● 運転中
窓を閉め切ると風通しが悪くなり汗が蒸発しにくいため、体温が上がりやすくなります。

《 ココがポイント! 》

・汗をかいていなくてもこまめに水分を取る(1回にコップ1杯程度)
・就寝前、起床時、入浴の前後は特に多めに水分を取る
・運動中は20~30分ごとに100~200ml程度の水分を取る
・運動後は減った体重分を補うように何回かに分けて飲む
・外出時は水やお茶を持参する
・野菜ジュースなどの栄養バランスの取れた水分を取る
・スポーツドリンクは糖分が多いため、飲みすぎには注意する(水で薄める)

特に高齢者は、脱水症により血液濃度が高まることで、高血糖状態となり、血液が固まりやすくなるため、脳梗塞など命にかかわることもあります。

夏本番はこれから!脱水症に気をつけて熱中症を予防しましょう。